藤子・F・不二雄大全集第三期第十二回配本

今回は八月末に配本となった以下の二冊を紹介します。

初期SF作品
トキワ荘時代に描かれた意欲作、全て初単行本化!、とのこと。
色々と見所はたくさんあるのですが、何より注目すべきなのは藤子不二雄A先生の作品「まんが道」でも語られている「海底人間メバル」などが収録されていると言うこと!この作品は有名な「実家に帰ったら気が抜けて何も描けなくなって打ち切りになった」作品なわけですが……ホントにまんが道そのままの打ち切りっぷりでビックリしました。ほかにも「ローマ便り」なども収録されています。
すすめロボケット3
「幼稚園」「小学一年生」「小学二年生」(第2、3期)掲載作品完全収録、とのこと。
この作品は初期から「スコシフシギ」感が漂っていましたが、この巻に入ってからさらにそれが強まりました。壮大なSFというより、生活の中でのロボケットの活躍…と言うようなストーリーが増えてきているのです。
あとがきによれば、ちょうどこれらの話が掲載されているのと同時期にオバQの連載が始まり、そして、オバQの人気が爆発し掲載誌を増やし、その結果「すすめロボケット」を含むオバQ以外の作品が連載終了となった、とのこと。
オバQのヒントともなったロボケットがオバQを生み出し、さらにその生活ギャグがロボケットに逆輸入されていった結果「それならオバQを」ということになり連載が終わってしまったのだとしたら、ちょっと皮肉な話です。 ともあれそういう裏事情は置いておくとしても、「ロボケット」が楽しい漫画であることには変わりありません。
なお、「すすめロボケット」はこれにて完結です。

藤子・F・不二雄大全集ホームページ

藤子・F・不二雄大全集第三期第八回配本

今回は以下の3冊です。

ドラえもん18
”「よいこ」「幼稚園」版に「てれびくん」版(前期)をプラス!”とのことです。
低学年向けである「よいこ」「幼稚園」に収録されている作品はカラーで楽しく、何よりシンプルです。「幼稚園」版の初回などは、セワシがのび太に「このドラえもんをあげよう」と持ちかけるのに対してのび太は「いらないよ、そんなもの」と返す。こういうやりとりが実に良いです。
また、「てれびくん」収録作にはとにかく傑作が多いです。のび太が家出して無人島で十年過ごす「無人島へ家出」。あやとりを使ってプロレス的なバトルが繰り広げられる「あやとり世界」。のび太やジャイアンの体がバラバラになり手や足だけでヒョコヒョコ動く描写が衝撃的な「分解ドライバー」。さらにはしずかちゃんの「うれしい!パンツだわ。」のセリフで有名な(?)「ターザンパンツで大活躍!?」まで収録されてます。見るとわかりますがこの作品は「良く収録出来たな!」という際どい描写がバンバン出てきます(いや、それは「分解ドライバー」も同じですが)。
僕は比較的初期~中期のドラえもんが好きなのですが、この18巻はそんな僕にストライクな内容でした。満足。
すすめロボケット1
“小学館漫画賞の名作、ついに初単行本化!”とのことです。なので当然僕も読んだことありません。
描かれたのは1962年ですので、オバQのちょっと前くらい。対象年齢が低めということもあり、いかにも「古き良き児童漫画」テイストです。ページ数も短め。
それでも内容はハッキリと「藤子・F・不二雄」先生テイストです。ロボット+ロケット=「ロボケット」というちょっととぼけたキャラクターと、そのパイロットでもあり友達でもある少年すすむ君とのコンビは絶妙。「小学館漫画賞受賞作」というのもうなずける良作です。
SF・異色短編3
” 「漫画アクション」掲載の17作品完全収録!!”とのことです。タイトルを挙げると「メフィスト惨歌」「テレパ椎」等々。
このシリーズ、主人公が良い目を見る「ハッピーエンド」の作品も多数あるのですが、その裏で誰かが不幸になっていたりなんだりという展開もものすごく多いです。読んでいてどこか不安になるのは、そのあたりが原因なのかも知れません。

NATIONAL GEOGRAPHIC 2012年4月号


ナショナルジオグラフィック2012年4月号が届きました。

今回は表紙が凝っており、広げるとこのようになります。

沈没100年後の真実 タイタニック
「ジェームズキャメロンが解明する豪華客船の最後」だそうです。
見所は、海底調査で撮影された写真をつなぎ合わせた高解像度の「海に沈んだタイタニック」。タイタニックの最期を時間軸で解説したポスターなども付いており、かなりの力の入れようです。
また、個人的には、タイタニック号に乗っていたたった一人の日本人であり、生還者である「細野正文」氏の手記が掲載されているのも非常に興味深く感じました。この細野氏はミュージシャンである細野晴臣氏の祖父である…と言うのは有名な話。その晴臣氏に対するインタビューが現在、ナショジオ日本語版サイトに掲載されています。記事と併せて読むと、よりいっそう色々なことが見えてくるかも知れません。

藤子・F・不二雄大全集第三期第七回配本


今回は以下の三冊です。

大長編ドラえもん5
「のび太と雲の王国」「のび太とブリキの迷宮」「のび太と夢幻三剣士」の三本を収録。今までのように、初出でカラーだったページはしっかりカラーで収録されています。
これらの作品が発表された年代(1991~1994年)、僕は二十歳前後。すでに「子ども」と呼べる歳ではなくなっており、映画館までドラえもんの映画を見に行く、と言うこともありませんでした。そのため非常に印象が希薄…。それぞれの文庫本も持ってはいるのですが、ずいぶん前に読んだためスジを記憶しておりません。なので、ここでもう一度じっくり読み返してみようと思います。
ウメ星デンカ4
二色なども含まれますが、ほとんどがフルカラーによる「ウメ星デンカ」です。
毎回思うのですが、読者に合わせて作風を変えていくというのは本当に凄いことです。作品は「ウメ星デンカ」なのですが、対象は見事に「小一」「幼稚園」「よいこ」になっています。
ちなみにウメ星デンカはこれにて完結です。
T.Pぼん3
コミックトム編の2。帯にあるように「最後の二話を含む初めての完全版!!」だそうです。当然の如く僕も読んだことは無く、楽しみです。なお、T.Pぼんもこれにて完結です。

NATIONAL GEOGRAPHIC 2012年3月号

ナショナルジオグラフィック2012年3月号が届きました。

使徒達の旅路
ナショジオを見ているとチョコチョコと入ってくる宗教関係の記事。
日本で宗教というとワイドショー的な新興宗教とかあるいは政教分離の原則がどうとかいった、「人間の真理の探究」とかからはほど遠い生臭い話題くらいでしか取り上げられることはないようですが、この記事で書かれているのは宗教を信仰する喜び、苦しみ、悩み…と言った部分。何枚も出てくる「祈りを捧げる写真」が心に残ります。
生命の宝庫 アラビアの海
ナショジオと言えば、美しい自然写真が有名。この記事の写真も非常に美しいです。ジンベエザメカッコイイ。
サイの悲鳴
漢方薬においてサイの角には薬効があるとされ、3.5キロの重さのツノに2800万円の値が付くそうです。そのため、密漁の被害に遭っているとか。
そういったことの無いよう保護団体が先回りしてサイを殺さずツノだけ切ってまわっている…と言うことが書いてあるわけですが、何とも複雑。というかそもそもツノに薬効なんてあるのかどうか。色々と考えさせられる記事です。 

僕にとってのナショジオは「写真を中心に流し読みをする」雑誌ですので隅から隅までじっくり読んでいるわけでは無いのですが、それでも毎回色々と「広がる」カンジが面白いです。

藤子・F・不二雄大全集第三期第六回配本

今回は以下の三冊です。

中年スーパーマン佐江内氏
青年むけ作品「中年スーパーマン佐江内氏」と「未来の想い出」二本収録。
読んでると何となく不安になる作風はF先生の青年むけ漫画の特徴。たとえハッピーエンド風な終わり方になっていても素直に喜べない気分になるというのがなんとも(笑)。
ウメ星デンカ3
引き続きウメ星デンカ。今回は「週刊少年サンデー掲載作品完全収録」とのことです。
結構覚えている話もあり、ようやく「僕が昔持っていた単行本はサンデーの単行本だったのか」と気付く始末。ホントに昔から雑誌を読まずに作者の名前で単行本を買うタイプのため、何がどこに掲載されていたのかと言うことを知りません。
ドラえもん17
何より注目は、学年誌連載最終作「ガラパ星から来た男」が収録されている、と言う点。
「ガラパ星」は1994年発表。F先生が亡くなられたのが1996年ですので、ホントに晩年の作品です。その晩年の作品が収録されてもなおこの本の巻末には「18巻に続く」の文字が。どれだけあるんでしょう、ドラえもん…。