(1955年2月24日 – 2011年10月5日)
アップル設立者の一人であるスティーブ・ジョブズ氏が亡くなりました。享年56歳。
■アップル
僕のAppleに対する一番古い記憶は小学生か中学生の時。一冊の本の中でApple ][について書かれていました。当時は「なんだかアメリカのパソコンってのはひと味違うんだな」くらいの印象だった気がします。
その後、絵の専門学校を卒業後、すぐにその学校に助手として勤務。時を同じくして学校にMacが導入されました。
「これからのイラストや漫画などクリエイティブな仕事にはこういったパソコンが必須となる!」ということで、全面的に授業に取り入れられたのは確かQuadraだったか。正確な型番は忘れましたが、とにかく当時出ていたMacの中で一二を争うくらい高額な機種だった記憶があります。
僕自身はすでに卒業していましたのでそこでMacの授業を受けることもありませんでしたが、子どもの頃から家にパソコンがあった「デジタル機器大好きっ子」としては気にならないわけがない。業務の合間などを見計らってPhotoshopやらIllustratorやらを独学で覚えました。(その基礎が今も役立ってます)
そして自宅でもCentris660AV、LC630等の、比較的リーズナブルなMacを購入。専門学校の助手をやめてまんが家デビューしてから数年後はUMAXのPulsar2330VRというMac互換機(今考えると非常にレア)を購入し、それでカラーカットやイラストなどを描いておりました。
■UMAX Pulsar2330VR(Mac OS Clone World)
ただ、パソコン業界の中の「Apple」、そして「Macintosh」は必ずしもメジャーではありませんでした。当時からブランド的ではあったのですが、高いパソコンが売れる時代でもなく、プレミア感はどんどん薄れ比較的どうでも良い機種が乱造され、結果的に個性が無くなってきていました。また当時Windows95ブームがあり、「対決に負けた」的な雰囲気が蔓延してもいました。
当時のアップルのヤバさは今でも覚えています。「そこそこ良い物作ってるんだけど売れないよな」「デザインとかが悪いのかも」「SONYが買収してくれないかな」…友人とそんなことを好き勝手に語らったりしたっけ。
そしてその頃、ジョブズがアップルに「帰って」きました。ジョブズは創業者でありながら自分が雇った人物とそりが合わず、1980年代にアップルを追われていた。しかしAppleの業績があまりにもやばいため、紆余曲折ありながらも「暫定CEO」として戻ってきたのです。
そのジョブズが復帰初期にやった仕事の一つが「互換機切り」でした。「Mac互換機は色々なメーカーがMacOSの動くパソコンを作る。しかしその結果メーカーによって出来不出来が出てくる。デザインもバラバラ。そんなことではMacは、そしてAppleはダメになる!」ということだったのでしょう。
今になればそれもわかるのですが、当時互換機を使っていた僕としては「何、よけいなことやってくれてんの!」でした。互換機は互換機で、CPUを載せ替えたり、そもそも安かったりと悪い部分だけではなかったのです。
そんなこんなで個人的には、けして好印象を持って迎えていたわけでは無いジョブズ。「互換機潰して何を出してくるんだよ」とヤキモキしていた頃に発売されたのが…初代の「iMac」でした。
それ以降のAppleの復活劇は、皆さんもよくご存じのことと思います。今や携帯音楽プレイヤーの代名詞ともなったiPod、そして大人気スマートフォンであるiPhone。いつのまにやらAppleは復活を遂げ、我々の中に再び(創業初期の印象とは違うかも知れませんが)「ブランドとしてのApple」を印象づけました。
Appleは年に何回か、新製品発表会的な物を行います。その時に必ずと言って良いほど基調講演の壇上に登場してきたのがジョブズでした。
互換機切りの当時などはネットでその姿を見て「出てきやがったな!ジーパンハゲ!」とかひどいこと言っていたものです。ゴメンナサイジョブズ。
講演の時は毎回一喜一憂。「魅力的な製品が発表された!」と喜ぶときもあれば「今回はショボかったな…」とガッカリするときもある。
昨日などはどちらかと言えば後者。「でもAppleの事だからきっとまたビックリするような物を作ってくれるよな」と思ってました。
が、今日になってこの訃報。もう二度と壇上で颯爽と話すジョブズを見ることは出来なくなってしまったんだな…と、かなりガッカリしています。
ただ、ジョブズが構想していた製品はこれから先も数年にわたって段階的に発表されていく…とのこと。それに、そういった製品が出尽くしたあともおそらく、ジョブズの精神はもうすでにAppleの一部になっていると思われるため、きっと大丈夫だと信じています。
ジョブズ自身は技術者ではありません。そのせいかジョブズのことを悪く言う人も多数います。
ただ、基調講演などで見せるあの存在感、カリスマ性というのはやはり他の追随を許さないものでした。僕は英語がわからないけれど、そんな僕でも「なんか凄いぞ!」という雰囲気を感じさせるに十分な凄さが、ジョブズにはありました。
今は、仕事に使うメインマシンもWindowsに変わり、Macの使用頻度は昔よりも落ちました。
ただ、音楽や写真を管理するソフトはいまだにMacですし、趣味の作曲ソフトもMacに入っています。逆に言うと仕事以外のほとんどはいまだにMacなのです。人間にとってより身近なコンピュータ…。僕にとってのMacはそういう位置づけになっています。
そしてもちろんiPadやiPod touch。今やこの二つを触らない日はありません。息子もそれらで遊びますし、リビングのAppleTVでYouTube動画を見るのは息子のお気に入りの一つになっています。
そんな生活を可能にしてくれたのは、やはりジョブズがいてくれたからなのでしょう。ジョブズは確実に、他の人では無理だったであろう事をやってのけた人だったと思います。
近いうちに追悼のために、何かしらApple製品を買おうと思ってます。
安らかに。R.I.P. Steve Jobs.
(※古い記憶を無理矢理引っ張り出して書いていますので多少勘違いなどあるかも知れません。その場合はスミマセンm(_ _)m)