アナログ手描きで水彩画を描くのが好きなせいか、デジタルで水彩風の表現を追求する事をサボってきました。
が、昨今はなかなか良いソフトが揃ってきており、特に安価ながら様々な表現が可能であるセルシスのIllustStudio(通称イラスタ)は、僕のお気に入りのソフトの一つ。これならアナログ手描き水彩のタッチが再現出来るかも?と思い試してみました。
もちろん何も設定をいじらなくてもそれなりの絵は描けるのですが、自然な水彩は少々ツライ。というわけで、今回色々といじってみました。
そこで描いてみたのがこちら。、まぁ、何となく水彩っぽくは見えるんじゃないかと思います。
ちなみに上記のイラストに使っている筆はこちら。…いや、全部は使ってないのですが、とりあえず試行錯誤しつつ作ってみたものも含めたものが上記になります。
まず「何をもって水彩とするのか」といえば、「水を使って絵の具をのばすのが水彩」だと思います。…当たり前と言えば当たり前ですが、コレは重要。 実際の手描きでも、まずは濃い色を紙において、その後綺麗な水でその色を伸ばしていきます。なのでイラスタ上でも、そういった作業工程を真似出来たら…と思い、なじませ系のブラシも充実させました。
具体的には、「水彩塗り」でベースを塗ったあとに「ザラなじませ」や「なじませ」で色を伸ばしていきます。一般に「水彩境界」というオプションが色んなソフトにありますが、あれは「水彩を適当に塗って放っておくと出来てしまう濃い境界色」の事であり、実際の水彩描きとしては「境界ばっかり出来ると下手に見えるからなるべく出したくない」シロモノだったりします。
しかし、部分的にそういった境界が出来るといかにも「らしく」みえるため、そう言う場合に便利なように境界が出来るブラシもいくつか作ってみました。ただし、肌などはなるべくなめらかにしたいのでそこには使わず、髪の毛などの複雑な部分にちょっとだけ使ってあります(今回は「水彩境界1」も「水彩境界2」も使ってないはず)。
紙の繊維ににじんでいくような「繊維塗り」「繊維なじませ」なども重宝します。髪の毛なんかはほとんどコレ。で、もちろん部分的に延ばす。 色を塗ったあとに水を落としたり、あるいは絵の具量の少ない薄い色を置くと水彩境界が出来やすいため、それを再現するためには「繊維塗り境界」や「水滴風」を使っています。「水滴風」は元々「血しぶき」をブラシ形状に使ってます。
ただ、もちろんこれだけで水彩風になるわけではありません。水彩絵の具は色を重ねていく画材であり、基本的に白を使って下を潰す…と言うことはありません。従って、塗れば塗るほど濃くなっていく。 それを再現するには筆を何とかするだけではダメなので、レイヤーを重ねます。合成モードはもちろん「乗算」。頬の赤い部分や前髪の影。及び首の影などは乗算レイヤーで重ねています。
最後に「素材」から「ブラシテクスチャ」の「中目」をオーバーレイ40%で重ねています。これは紙の質感を出すためですが、このテクスチャは自分の好みの水彩紙をスキャンして自作しても良いかもしれません。
まだまだ発展途上でブラシの数も多いですが、これから先もう少し描き続けて不必要なブラシを捨て、洗練させていければいいな、と思ってます。 本格的な水彩風デジタルイラストが完成したらまたこのブログで紹介します。