僕は漫画賞を受賞する前に14回連続で落選しています。中学三年の秋から投稿を始めて七年、落ちに落ちまくっておりました。
ただ、単純に落選するだけではなく、二次選考通過作品として名前が載ることもしばしば。そんな状態なので、たとえ落選しても諦めずに投稿を続けられたのだと思います。おかげで連続15回目、ようやく僕は受賞することが出来ました。(受賞作についての記事はこちら)
当時の落選作。よく見ると今もコロコロで活躍されている漫画家の方々の名前もチラホラ(笑)。
当時の僕はヘタレの中学生でしたので、持ち込みなんて出来る勇気はありません。なのでその流れでずっと投稿ばかりしてました。今思えば持ち込みした方がデビューは早かっただろうな、と思いますが投稿にも良い部分があります。それは「自分で深く考える力が身につく」ということです。
あまりにも若いうちに持ち込みをすると、編集の方の意見に翻弄されて自分を見失ってしまうこともあります。その結果筆を折ってしまうような人もいるでしょう。しかし、投稿であれば、落選した理由をじっくり考えることが出来る。
”今回は選考を通過せず雑誌に名前も載らなかった。方向性を変えよう。今回は二次選考が通った。評価してもらった部分はきっとここだろうからそこをさらにパワーアップさせよう…。”
的外れな部分もあったでしょうが、結果的に選考残存率(?)も上がり受賞もできたわけなので、あながち間違いではなかったのだと思います。(とは言え、ある程度のコミュニケーション能力のある人であれば、投稿よりは持ち込みの方がデビューは早いかと思われます。…高卒以上であれば持ち込み推奨!)
なお、コロコロでの受賞のコツは昔も今もバトルとギャグです。僕の場合は、ある一時期から「今回は誰と誰を戦わせようかな?」と考えて作品を作っていました。今も子供向けの作品を作る時は基本的にそのやり方は変わっていません。
わかりやすい対立構図。これは、今もこれからもずっと使われ続ける、普遍的な漫画のモチーフなのだと思います。
参考までに、以下に投稿作のあらすじを載せておきます。何となくでもその進歩の過程を感じていただいたら嬉しいです。
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第21回新人コミック大賞児童部門(第14回藤子不二雄賞)
ミラクル宙次 ◆14歳・中学三年生 -
地球に不時着したUFOに乗っていた宇宙人、宙次が主人公。悪者に奪われたおやつを取り戻すべく奮闘努力する物語。
最初の投稿作のため手探りも良いとこ。ベタにポスターカラーの黒を使っていたりなんだり、意味不明な部分多数です。 -
第22回新人コミック大賞児童部門(第15回藤子不二雄賞)
ハチャメチャグループ マヨネーズ ◆15歳・高校一年生 -
常識はずれの四人組小学生が繰り広げるまさに”ハチャメチャ”なギャグ漫画。主人公の暴走っぷりが見もの。当時流行っていたハイスクール奇面組の影響が見て取れる。
流行に乗ったのが良かったのか、初めて二次審査を通過し雑誌に名前が掲載されました。 -
第23回新人コミック大賞児童部門(第16回藤子不二雄賞)
Timeトラベラー ◆15歳・高校一年生 -
時を旅する能力を持った少年が主人公。彼が原始時代にタイムワープすると、そこにはなぜか背広を着たサラリーマンがいた!
三作目にして内容的にはかなり迷走。単純に漫画としてつまらないです(笑)。 - 地底探検隊
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地面の下からやってきた謎の少年が主人公。彼は地底人であり、地上の少年たちを地底への旅へと誘う…。
この時だけ上の作品と一緒に二作同時投稿しています。「当時、やる気があったから」というよりも「この漫画一本だけじゃ駄目だ」と思ったため急遽描いたと思われます。しかし残念ながらこっちも駄作です(笑)。 -
第24回新人コミック大賞児童部門(第17回藤子不二雄賞)
和男くんの漂流記 ◆16歳・高校二年生 -
船が沈没し、救命ボートで漂流する少年が主人公。彼はその後、島へと漂着するが…!?
これもまた面白くないです。ちょうどこの頃ギャグ漫画以上にストーリー漫画に魅力を感じてきている時期なので、気合が入っていなかったのかも知れません。 -
第25回新人コミック大賞児童部門(第18回藤子不二雄賞)
宇宙最強の宇宙人!? ◆16歳・高校二年生 -
ある日UFOに乗った宇宙人が地球にやってくる。彼は「全宇宙格闘技大会」に出場する資格のある人物を探しに地球までやってきたのだ。しかし、ひょんなことでごく普通の少年が出場することになってしまい…!?
多分「らんま1/2」とかの影響が強いです。「対決」というモチーフを意識し始めた頃で、これ以降バトル色が強くなっていきます。 -
第26回新人コミック大賞児童部門(第19回藤子不二雄賞)
外科医純平 ◆17歳・高校三年生 -
原稿の返却を希望していたにもかかわらず唯一返却されなかった作品。そのため内容もあまり記憶していません。
確か、悪者の病気か怪我を治すべく依頼を受けた主人公が滅茶苦茶な事をしでかすようなストーリーだったはずです。まぁ、変形ブラックジャックですね。 -
第27回新人コミック大賞児童部門(第20回藤子不二雄賞)
秘密警察ゾンビ ◆17歳・高校三年生 -
悪の組織に殺されてしまった警察官!しかし彼は謎の秘薬でゾンビとして蘇り復讐を誓う!
こう書くとB級ホラーっぽくて面白そうにも思えますが実際はC級、D級の出来です。主人公格の少年はゾンビに巻き込まれる形で事件に関わっていくわけですが、その辺の導入が弱いです。 -
第28回新人コミック大賞児童部門(第21回藤子不二雄賞)
機械生物フンドシダー ◆18歳・専門学校一年生 -
突如やってきた宇宙人に対抗すべく、生物学者の祖父と機械工学者の少年が手を組み、機械生物フンドシダーを作り出した!
「対立構図」をしっかり設定するようになってからは、比較的安心して読むことが出来る作品が増えました。これも二次審査通過しているはず。
しっかし宇宙人とかが好きですね。僕は。 -
第29回新人コミック大賞児童部門(第22回藤子不二雄賞)
料理人淳 ◆18歳・専門学校一年生 -
政府要人に食事を作るよう依頼された淳。しかし突然のテロに巻き込まれ…!
ジャンルが何であろうと、とにかくバトルに持って行きます。当時美味しんぼをはじめとしたグルメ漫画が流行っていたため、それに乗りました。 -
第30回新人コミック大賞児童部門(第23回藤子不二雄賞)
名探偵キンダイチ&コースケ ◆19歳・専門学校二年生 -
兄弟で探偵事務所を経営しているキンダイチとコースケ。街を騒がす怪人100面相を倒すべく立ち上がる!
当時はまだ名探偵コナンとかはなかったため、おそらく発想の発端はルパン三世などです。あるいは、敬愛する漫画家西岸良平先生の「蜃気郎」等の影響もあるのかも。 -
第31回新人コミック大賞児童部門(第24回藤子不二雄賞)
平面人間ヒラメ ◆19歳・専門学校二年生 -
生まれた時に母親の下敷きになり平面人間となってしまった少年ヒラメが主人公。対決するのは近所に引っ越してきた平面人間の少女、カレイ!
…どんな無茶な設定でもバトル漫画になります。
前回の投稿でちょうど投稿回数十回となり、正直そこで打ち止めにしようとしていました。しかし「ここで諦めたら俺は一生漫画家にはなれない」と思い、一日か二日でこの作品を仕上げました。その割には勢いがあって悪くはないです。(絵はボロボロですが…) -
第32回新人コミック大賞児童部門(第25回藤子不二雄賞)
西部の英雄キンガンマン ◆20歳・専門学校助手一年目 -
近眼のガンマン、キンガンマンが主人公。西部の街で差別を受けるインディアンを救うべく立ち上がる!
アイディアは悪く無いのですが、残念ながらテーマが重すぎました。 -
第33回新人コミック大賞児童部門(第26回藤子不二雄賞)
ビッグスター ジョー ◆20歳・専門学校助手一年目 -
誰からも憧れられるスーパーアイドルジョーは、実はとんでもないバカだった!それを暴こうとする新聞記者と、守るマネージャーとの必至の攻防が見もの。
ジョーのハチャメチャな言動とそれを突っ込むマネージャーとのやりとりはそれなりに面白いです。ただ、最後までジョーをバカとして描ききれていないのが残念。 -
第34回新人コミック大賞児童部門(第27回藤子不二雄賞)
改造警官ロボポリス ◆21歳・専門学校助手二年目 -
ロボコップもどき。解説するのもめんどくさいほどの駄作。時間が取れず一日どころか12時間ほどで16ページ描きました。
専門学校も卒業し、一番悩みが深かった頃の作品です。当時は部屋の片隅で頭を抱えてうなる…みたいな文学青年のようなことを良くやってました(笑)。 -
第35回新人コミック大賞児童部門(第28回藤子不二雄賞)
おかもち太郎!(受賞作) ◆21歳・専門学校助手二年目 -
全国どこでも五分以内に出前を届ける少年、太郎が主人公。彼は「五分以内に届けられなかったらタダにします!」と宣言する。それにつけこんだある組織は500人前のラーメンを注文。料金を踏み倒すべくあの手この手で太郎を妨害するが…!?
一時期の悩みを吹っ切り、自分が楽しむことを考えて描いた作品。受賞作だけあってそれなりに面白いです。
この後、専門学校助手の仕事を退職し、半年後に漫画家としてデビューすることになります。その時の話はまた後日。